2014-03-28

Sugar Palm LINER NOTES


La web oficial de Anna ha subido un artículo sobre la evolución de Anna como cantante a lo largo de sus más de 10 años de carrera, con comentarios sobre el nuevo mini álbum. Aquí os dejo el texto en japonés, escrito por Yuichi Masuda (siento no poder traducirlo...):

LINER NOTES:

喜びも悲しみも、すべて吞み込みながら……。
歌手・土屋アンナが、3.11発売の新作で見せた“本気”と“素顔”。


いつも、さまざまな表情を見せながら多面的な表現活動を続けてきた土屋アンナ。しかしそこでいちばん着目されるべきは、いわゆるマルチ・タレントとしての活動範囲の幅広さではなく、彼女がいかなる分野にも“本気”で挑み続けてきたという事実ではないだろうか。もちろん音楽も、そのひとつ。歌い手としての活動歴もとうに10年を超えているが、この3月11日(彼女自身の誕生日である)にリリースを迎える新作『Sugar Palm』には、そんな彼女の“本気”が、しかもあくまでナチュラルに詰め込まれている。

この『Sugar Palm』はミニ・アルバムとDVDからなる変則的な作品。たくさんの候補曲のなかから選りすぐられた「Sugar Palm」、「UP TO YOU」、「Melt Into Blue」という3つの新曲と、一昨年に“公開レコーディング”という形式で録音された4曲の音源、そして同年末にBlue Note TOKYOで収録されたライヴ映像という各々の素材が、土屋アンナという存在を実にリアルに浮き彫りにしている。こうした作品形態をとることになった理由を、彼女は「自分が歌手として、ちゃんと歌に取り組んでるんだってことを、もう一度きちんと伝えたかった」からだと語っている。
「ライヴを観に来てくれるお客さんは、私がいつもマイクを通さなくても聴こえるぐらいの声量で歌ってることを知っているはず。だけどCDを聴いただけだと、わからない部分もあるじゃない? そこでちゃんと、“私は歌ってるんだ!”ってことがわかるものにしたかったの。実はここ数年で、声の出し方とかもめちゃくちゃ変わってきてるんです。今はゴスペルの先生に教わっていて。ライヴを観てくれた先生が“まだまだ声、全然出るよ!”と言ってくれて。それからトレーニングを受けるようになったんだけど、今では高いキーの声も前よりもすんなり出るようになったし、声が枯れることもない。以前はむしろ、声が枯れてナンボみたいに思ってたくらいなのに(笑)」

これまで彼女は、主にロックを歌ってきた。その歌唱から感じられたのは、声そのものから感じられる生きざまや、彼女ならではのスタイリッシュな存在感のほうであり、むしろ技術的な意味において注目されることはあまり多くなかったように思う。しかし彼女自身は実に幅広い音楽趣味を持ち、そのすべてを自分の領域にすることを望んでいたりもする。そのために必要なのが、技術レベルでの向上というわけだ。そして実際、今作で聴かれる彼女の歌声には、これまでのどの作品からよりも説得力が感じられる。
「声がさらに出るようになってきたことで、歌える曲の幅も広くなってきた。私はいろんな音楽が好きだし、惹かれる曲の種類が多いって素敵なことだと思うの。で、好きなものをいろんな場所で歌うことができたら最高だなって思う。私はBlue Noteみたいな場所でも歌うし、『サマーソニック』みたいなロック・フェスのステージにも立つ。いろんな歌を歌えたほうが自分としても楽しいはずだと思うから、そこについてはすごくストイックにトライしてるつもりなんです。どんな服でも着こなせるようになるのと同じように。ロックを歌ってるときにカッコいいって言ってもらえるのも嬉しいけど、アンプラグドで歌っても“こいつ本当に上手いな”って思われるようでありたい。歌手って、そうなれるぐらい努力しなくちゃいけないものだと私は思ってるから」
今作に収録されている3つの新曲に触れたとき、ロック然としたたたずまいをした従来の土屋アンナ像とのイメージの違いに驚かされる人も少なくないはずだ。が、実はこれが彼女自身の素顔でもある。

「今までいちばんやらずにいたことに、今回はトライしてみたというか。どっちかというと、可愛く見られるのが嫌いな私だったけど、私にだってそういう部分はあるし、可愛いもの、綺麗なものを作ることにも惹かれるわけで。たとえばロックの場合は同じ薔薇について歌うのでも棘のほうのことを歌おうとするじゃない? そうじゃなくて綺麗な花のことを歌おうと思ったの。敢えてそっちをストレートに出してみようかな、と。だからジャケットの写真もすごく自然でしょ? ただ、これからずっとこの方向でいこうと思っているわけじゃなくて、ロックでもジャズでも、いろんな曲を歌っていきたい。私自身が柔軟になってきたのは確かだし、ここで改めて私の歌を広く届けられたらなと思って」
「Sugar Palm」という曲のタイトルが意味するのは、砂糖椰子。3月11日の誕生果なのだという。花言葉と同じように果物言葉というのがあり、砂糖椰子には“自由”や“穏やかさ”という意味があるのだとか。実際この表題曲は、そうした言葉が示すような柔らかな春の日差しを思わせるようなポップ・チューンだ。加えて「UP TO YOU」は“人生はすべてあなた自身次第”というメッセージの込められた力強いナンバー。そして、「Melt Into Blue」という楽曲の起源は、2011年3月11日にある。言うまでもなく、東日本大震災のことである。
「私は海が大好きなのね。でも、なかには震災のときの経験から海が嫌いになった人たち、怖くなってしまった子供たちもいると思う。それでもあそこに住んでる人たちは、ずっと海と関わっていかなきゃならない。そこで私は、自然には怖い部分もあるけど美しい部分もたくさんあるんだってことを歌いたかったし、そういった両方の考えを持つことが大事だってことを歌で表現したかった。それを聴いて“そうだよね”って思ってくれる人が少しでもいてくれたら嬉しい。たとえば青い空に天国があるのなら、青い海にも天国があるって信じて、そこに向けて祈りを捧げようよという気持ちで歌っているの。どんなことも解釈は人それぞれだと思うけど、これは、“そういうふうに解釈してもいいはずじゃない?”という私からのひとつの提案ともいえるかもしれない」

震災に触発された歌や作品というのは、世にたくさん溢れている。だが、誤解して欲しくないのは、この楽曲誕生はまったく唐突なものではないということ。実は彼女自身、幾度にもわたり被災地を訪れ、そこで歌い、物資的支援などの機会も重ねてきた。そこでの経験がこの曲を育て、彼女自身が歌というものに向き合う姿勢にも少なからず影響をもたらすことになったのだ。
「絶対にそこでの影響はあったと思う。被災地のみんなの前で歌うときに“何もできなくてごめんね”という気持ちも当然のようにあるの。だけど、私が生きてるのはエンターテインメントの世界だし、そのエンターテインメントで少しの時間でも気持ちいいなと感じてくれる人たちがいるんであれば、そこに足を運びたいなと思った。しかも実際に足を運ぶことで得られる出会いというのもあったし、たくさんのコミュニケーションもあった。私が何かを届けるだけじゃなくて、私自身がもらうものもたくさんあったの。観に来てくれた初対面のおばちゃんが、“寒いでしょ!”ってホッカイロを差し出してくれたりとか(笑)」
こうして笑いを誘いながら話すのがまた彼女らしいところでもあるのだが、実は彼女自身、従来のパブリック・イメージからすると意外なくらい、発言や表情などから温かみや母性を感じさせる女性でもある。
「意外と私にもそういう面はあるんですよ(笑)。これまではそういうのは見えなくてもいいやと思ってた。だけど、これまでもドラマとかで自分の違った部分というのは出してきたし、意外に普通な部分というか、母親だったりする部分というのを出してもいいのかなって。だから今の私は、逆に“素”でいられるんです。むしろ普段の私をよく知ってる人たちからすれば、この作品でのアンナを意外だとは感じないだろうと思う。それこそジャケット写真も含めてね。もちろんロックを歌うときだって、別の誰かを演じてるわけじゃないのね。それも“素”のひとつだし“スタイル”だと思う。自分がリスペクトするスタイルには、どんどん手を伸ばしていきたいし」

ところで前述の通り、3月11日は震災の起きた日であると同時に、彼女自身の誕生日でもある。どんなに悲惨な出来事も時間の経過とともに人間の記憶というのは薄れていくものだし、なかには忘れるための努力をすべきことというのもあるかもしれない。しかし彼女の場合は、誕生日が訪れるたびに、3年前の経験とそれ以降の時間の流れというものを思い出すことになるのだ。
「正直に言うと、3月11日が来ても素直に喜べないところはあるんです。だけど、やっぱり誕生日は喜びたい。だったら、悲しみも喜びも両方とも組み合わさってるのがこの日だっていう考え方をすればいいのかなって。それをちゃんと自分のなかに吞み込むことが大事なんだなって、思えるようになったかな。しかも私の場合、表現することしか能がないし(笑)、それをちゃんとやることで何かに繋がればいいなと思っていて」
箱にリボンがかけられたかのようなデザインの『Sugar Palm』のアートワークには、どことなくギフトの匂いがする。ギフトというのは、“天から授けられた才能”を指す言葉でもあるが、この作品はまさに、それを存分に用いながら作られた、彼女からの贈りものと解釈すべきものだろう。
「そう思ってもらえたら嬉しいな。私はこれからもいい曲を歌い続けていきたいし、日本だけでなく海外でも認められるようになりたい。そのためにも、もっともっと上手くなりたいし。持って生まれたものを大事にしながら、自分で限界を決めてそこで諦めるんじゃなくて、どこまでも突き詰めていきたいんです」
土屋アンナの理想追求は、まだまだ続いていくことになる。そして、その道程のなかで、この『Sugar Palm』が持つことになる意味が、小さなものであるはずがない。

増田勇一

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